穴ポコポコ
さて、そろそろ春が近づいてきました。
この時期、ゴルフ場のグリーンは穴がポコポコ空きます。
みなさん、知っている方もいらっしゃるかもしれませんが、この穴ポコポコ空けることを
エアレーション
と言います。
なぜエアレーションをする必要があるのでしょうか。
例えば、田んぼ。
稲を植える前に田んぼをかき混ぜます。
これは土中に空気をたくさんいれる作業です。
なぜ、土中に空気をたくさん入れるのでしょうか?
それは好気性の細菌を増やすためです。
細菌は「好気性」と「嫌気性」の細菌があり、植物にとって一般的にいいと言われる細菌は「好気性」です。
「嫌気性」の細菌は増えるとヘドロのようなものを作ります。
そして、硫黄を副産物として作ってしまいます。
硫黄が増えると、植物は枯れてしまいます。
なので、植物を育てるには好気性の細菌を土中で増やしたいという意図があります。
田んぼの話に戻りますが、田んぼは代掻きをして土をかき混ぜて、水をためて稲を植えます。
そして、収穫して、収穫が終わったら、土を休ませます。
そして肥料を撒いたりして、また代掻きをします。
このように代掻き→田植え→収穫→代掻きという一年のローテーションがあります。
そうしないと、土中に嫌気性の細菌が増えてしまって植物が育たなくなるのです。
さて、
ここでゴルフ場に話を戻します。
グリーンは一年中、芝が生えているので、代掻きができません。
できることなら、一旦芝を剥がして、代掻きして、また芝を張りたいくらいですが、そうすると営業できる日数が3分の2くらいになってしまいます。
営業日数が3分の2になるなんて、実際ムリです。
(オーガスタとかならできるかもしれません)
そこで、しょうがなくエアレーションをするわけです。
エアレーションをすると、グリーン上でポコポコボールが動くのであまりお客様にとっては満足できることではないことは十分分かっています。
でも、エアレーションしないと、半年後に影響します。
春のエアレーションは夏に向けて。
秋のエアレーションは冬に向けて。
ちゃんとエアレーションしないと芝が枯れてしまいます。
芝が枯れてしまうと、お客様に満足していただけないコースになります。
それを防ぐために、エアレーションをするわけです。
エアレーションも口径が0.5センチのものから大きいと2センチ近くのものまであります。
これはグリーンキーパーが土壌の状態をコアと呼ばれる採取した土を見て判断します。
このエアレーションをする方法ひとつにしてみても、グリーンキーパーの考えが反映されます。
お客様の満足度とグリーンの土壌の状態を天秤にかけて口径を判断します。
口径だけでなく、抜き取ったコアをどう処理するかもグリーンキーパーの判断によります。
エアレーションだけでなく、フラッシングというやり方もありますから、本当にグリーンキーパーはお客様の満足度を真剣に考えつつ、土壌の状態も踏まえて判断しています。
それなのに・・・何も知らないお客様は
グリーンに穴が空いていて、
パターが入らなかった。
二度と来るか
などと心無いことを言ったり、書き込みをするお客様がいらっしゃいます。
・・・
・・・・・・・
はいはい、すみません。
そうは言っても数カ月後のことを考えるとしょうがないんです。
あなたは何も知らないんですね(怒)
本当にそう思います。
どれくらいグリーンキーパーが神経をすり減らしてグリーンを管理しているか、お客様の満足度を常に考えて管理しているか、なぜエアレーションがどうしても必要なのか、何も知らないんですよね。
年に2回エアレーションをするゴルフ場が多いと思いますが、春のエアレーションをしなかったら、夏に間違いなく枯れます。
一旦枯れてしまうと、3ヶ月は修繕にかかります。
それなら2週間程度、エアレーションの穴が開くことぐらい、勘弁してくださいよ。
何も知らないお客様にあんな理不尽なことを言われる筋合いはないと思います。
ゴルフ場の従業員はお客様に
「楽しかった」
と言って帰っていただきたい。
でも、そのためにはエアレーションは不可欠です。
このブログを読んでいただいた皆様だけでも分かっていただきたいです。
もしよろしければ、あなたの周りの方々にもこの知識をお伝えしていただけるとこのブログをしていて良かった、と心底思います。